芦屋市奥池町に建つ住まいである。
兵庫県の中で一番面積の小さい芦屋市はその形状が南北に長く、今回の敷地はその中でも自然が多く残る北側山手の奥地の別荘エリアの一角に位置する。
新たに住まいを構えることを考えたクライアントは候補地を探していく中で初めて訪れた自然が多く残る奥池の環境に魅了され、このエリアで暮らしていくことを決められたとのことであった。
敷地は約150坪に及ぶ広さのうち平坦な部分は30坪あるかないかという状況で、コストを考えると斜面地に大きく建物を迫り出すことは現実的ではないということもあり、この平坦地に建てることをメインに計画はスタートしている。
六甲山系の自然に囲まれ眺望が良いということもあり、早々にLDKは2階に置くことが決まり、同じく二階に広いテラスとゲストルームを設けた。よって残る一階には寝室や水回りなどが配置されるレイアウトをとっている。
また道路に面した外観側のデザインは裏手から採光が十分に確保できるということとプライバシーへの配慮から基本的には窓は設けていない。
また外観デザインは中央に穴のようなスペースを持つ門型形状をしており、そのスペースは駐車スペースや玄関ポーチとしている。合わせてこの穴スペースにより1階は南北の2つのゾーンに分断されているため、内部には2本の階段を持つ特殊な間取りとなっている。
全ての部屋の窓から美しい自然の山々の景色を望むことができ、まさに別荘地にふさわしくそのロケーションを体感することのできる建物になったように思う。