大阪府吹田市に建つ中庭を備えた住居である。
敷地は大阪でも人気エリアの一つである阪急千里線の沿線上に位置し、当該敷地は駅からも近く利便性のよい住宅地である。
敷地形状は元々50坪の土地が隣り合わせでニ筆あったものを合わせて100坪の一筆使いをしており、そのことから道路に対して非常に間口の広い敷地となっている。また若干の高低差があったため、それを活かしたプランとしたいと考えた。
クライアントからからは周辺環境を考え中庭を有する住まいとしたいということ、外には閉じつつも明るい生活空間に、また爽やかな外観イメージを求められた。
クライアントの希望通り敷地周辺の隣地建物の近接具合を見ると当然の如く中庭を設ける方向で進むことになるが、今回のプロジェクトは部屋数が多いということがあり、必然的に建物のボリュームは平面的にも高さ方向的にも敷地いっぱいいっぱいの総二階建てとならざるを得ない状況であった。そこへきてプライバシー保護の観点から二層分の高さの壁で中庭を覆い尽くすと中庭においてクライアントのイメージする明るさを得ることが難しいと思われたため、今回は中庭を囲う壁の一部に半透明のガラスを採用することとし、プライバシーの保護と明るさの確保を実現している。
プランの概ねの構成は敷地の中央に中庭を設け、それを挟んで各ブロックを配置している。
一階は北側にLDKを、南側にはインナーガレージを配置し、敷地の高低差を利用してガレージの上部には広大な納戸スペースを設けている。
二階は主にプライベートエリアに充てられ、合わせてクライアントの希望で中庭に面してセカンドリビングが配置された。
また今回は家事導線をいかに綺麗に整えるかにも注力しており、使いやすさにはご好評をいただけたことは何よりである。合わせて生活導線とは別に門扉からアプローチや玄関、廊下を通りリビングに到達するまでの距離を敢えて可能な限り長くとったことは住まいの格を一層上げることに寄与している。
またガラススクリーンを通して光が差し込む中庭はグリーンエリアを控え目とし、テラスエリアを広く設けることで実際の面積以上に快適で明るく美しい空間になったように思う。