阪急御影駅とJR住吉駅のちょうど中間あたりに建つご夫婦のための住まいである。
クライアントは交通の利便性を重視され駅にほどなく近いこのエリアに新しい住まいを求められた。
価格に反して比較的コンパクトなこの敷地は住宅街の中にあり、隣地境界線ギリギリまで隣接建物が迫っているという環境であった。この状況下において快適な住環境を確保していくためには外部に対しては閉ざし、その中に中庭を設けて住むものだけにとって特別な空間とすることは必然である。
敷地は北側と南側の2方向に道路に接するが、明るく光があふれる南側1階から北側に向かって順に玄関、中庭ゾーン、リビングダイニング、キッチンと続くように配置した。
間口が比較的コンパクトで奥行きのある敷地の場合、視線が最大限抜けるようにレイアウトをすることで、空間に奥行きと拡がりを持たせることは非常に有効である。
2階は中庭の見える南側に面してフリールームを設け、そこから北側に向かって個室が続いていく。
内装は極力シンプルなものとし、やや淡いグレーがかったトーンにまとめられた。
外観色は当初淡い色を希望されておられたが屋根や軒の出のない箱型のデザインを採用しているため汚れの付着や経年変化を考え最終的に明るいグレーに落ち着いた。
結果的に建物全体を通して爽やかで明るいトーンとなったように思われる。