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| 広さと素材

広さ(面積)と素材の関係についてです。

本来必要な広さや面積という物は、様々な条件によって適切にコントロールされるべきものです。
例えば敷地の広さや周辺環境、家族構成、来客の頻度、子供の将来、建蔽率や容積率、予算、そしてまさにプランの形状そのものによる部分を総合的に考えた上で適切に計画されるべきです。
吹田の中庭型住宅 内観写真
なぜこのような事を申し上げるかと言うと、例外を除き、通常全てのクライアントの皆様には、その額は別にせよ限られた大切なご予算がございます。そして大多数の方々が素敵な空間や住まいを手にされるにあたって、ご予算の使い方で大切なことを見落としておられるように感じているからです。

どういうことか、ここで一つの例を挙げてみましょう。

例えば4人家族の家を総工費2700万円で建てる場合、仮に延べ床面積を45坪希望されたとすると、単純計算ですが、坪単価は2700万円÷45坪で60万円/坪となります。

次に同じ条件で述べ床面積を30坪とした場合、同じように2700万円÷30坪で90万円/坪となります。

これは少し極端な例ではありますが、上記を比べると実にその坪単価は1.5倍もの違いを生む事となるのです。。。

素敵な空間や住まいを創るためには使用する材料に可能な限り良いものを使っていただきたいと言う想いがございます。常に予算とのバランスがありますので、次に挙げる材料を必ず使いたい言う訳ではございませんが、できれば壁にはクロスよりも塗装や漆喰を、床には複合フローリングではなく無垢の厚い床板、石、タイルを、外壁にはサイディングなどではなく木や金属、タイルや石を。。。レンガなどもまたとても素敵な素材です。。。
堺市の中庭型住宅 中庭の写真
経験から申し上げて、安価で非常に優れているという物は限りなく存在せず、やはり建築材料もまた金額なりであるということが言えると思います。また良い材料は見た目に質感が高く、手触りも良く、また経年変化時にもただきたなく汚れていくのではなく、素材その物の味を美しくかもし出しながら周辺環境にも、住まい手にも自然になじんでゆくと思うのです。

決して材料で建築や空間の質の全てが決まるという事ではないのですが、このように質の高い建材によって形成された建築物は事実耐久性にも優れ、非常に上質で美しく、そして何よりも居心地の良い空間となるのです。

勿論ご要望や予算を優先し、必ずしも全て箇所やケースでこのような選択をすることは難しくもありますが、ただやはり建築は実在する物体であり、現実に物質の塊でありますので、その建材類もまた事実その姿を偽ることは出来ません。。。

空間は実際に身を持って体感するものなので、実際の坪単価の差や、建材がどのように空間に影響するのかをここで文章にして説明するのは非常に難しいのが残念なところです。
神戸のリーフォームの内観写真
ここで話を元に戻しますと、より良い材料を使用し、且つより広い住まいを望まれた場合には工事費がどんどん上がってしまうのは明白な訳ですし、逆に面積もしくは材料費のどちらかを抑えることで工事費も低く抑えることが出来るという訳です。
以上のことから工事費の限度を一定の額に設定しますと、基本的には延べ床面積と材料費は常に反比例をしていることがわかっていただけると思います。

少し具体的に説明をいたしますと、例えば家族が集まり、長い時間を過ごすLDKにはひとつながりとなるような心地の良い外部空間を弊社では必ず設けます。このことで室内空間は外部空間と一体となり、より拡がりを持った快適な空間となります。実際の面積より広く感じていただけるため、多少LDKをコンパクト目に計画し、浮いた分をより良い建材に当てていただくことも可能です。

また子供部屋に関しては、必要最低限で十分だと考えておりますし、もし現状子供が一人でもう一人欲しいが未定などと言う場合は、とりあえず少し大きめの子供部屋一つを用意し、もし2人になった場合は必要に応じて仕切る、もし必要なかった場合は少し広めの寝室として使う、将来的には仕切って夫婦それぞれの趣味の部屋とするなど、長い目で見たときに極力無駄のない(使っていない部屋をなくす)プラン、広さとすることが大切だと思います。

毎回それぞれのクライアントによってご予算もご要望も当然異なりますので一概には言えませんが、お伝えしたかったことはもう少し使用される材料の大切さに気づいて欲しいと言う事、また予算との兼ね合いもありますので、本当に適切なバランスを探しましょうという事になります。

実際にこのような話をさせていただき、より質の良い建材の採用に充てていただくこともよくございます。。

長々と記しましたが、ご予算やご希望によって常に毎回バランスが代わります。ここに書いたとは決して絶対ということではありませんが、今までの経験から大切な事として申し上げさせていただきました。

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